シャインカーバーのみなさまこんにちは!
いつもブログを読んでくださってありがとうございます。シャインカービングアカデミーの田中淳也です。
シャインカービングキットの発売(8月予定)に向けて、色々な準備を進めています。
それと並行して研究しているのが、「シャインカービングのシートはどこまで大きいサイズまで制作できるのか」というものです。
小さいシートを並べて窓に貼っていくことも楽しいと思いますが、大きいサイズの一枚絵の存在感はやはり観る人が受ける印象も特別なものになりますよね。
ということで、今回は【前編】【中編】【後編】の3回にわたり、現状の機器で制作できる最大級のシートを彫りながら制作過程におけるシャインカービング独特の楽しみ方をお伝えしたいと思います。
それでは、はじめていきましょう!
制作するデザイン
今回のデザインはみんなが大好き、アルフォンス・ミュシャの代表作の一つである”JOB”です。
サイズは 300mm * 370mm !
小さいサイズのシート 70mm * 70mm 23枚分(!!)という大きさです。
上の写真は、シートと彫刻刀を僕のアトリエに置いてある特製シャインカービング彫刻スタンドの上に乗せて撮影したものです。
(発売予定のキットには持ち運びできる小型のシャインカービングスタンドを同梱する予定です。A4程度のシートまで対応しています。)
三角刀でアウトラインを彫っていく
シャインカービングの制作過程は人それぞれです。
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まず黒線を残すように三角刀で全てのアウトラインを彫っていく人。
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ある部分のアウトラインが終わったら丸刀に持ち替えて中を彫っていく人。
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三角刀のみで制作する人。
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丸刀で中を彫ってから三角刀で仕上げする人。
後者2つはかなりのカービング技術が必要です。通常、前者2つののどちらかで制作される方が多いと思います。
ちなみに僕は色々試した結果、1.の全てのアウトラインを先に三角刀で彫るスタイルに落ち着きました。
しかも、デザインの肝となる部分を一番最初に彫ります。(今回の場合は女性の顔の輪郭から始めました。)
女性の輪郭、目、鼻、口と彫った後、髪に進んでいきます。
ミュシャは曲線の表現力が卓越しています。彫っていて心地良いです。流れるような髪のラインを彫る際には、刃先の動きを最小限に、シートを回しながら彫っていきましょう。
二時間経過。ここまで彫り進めました。事情により特製スタンドの無い自宅での作業となり、机にベタ置きで彫刻しています。
”J”文字付近のモジャモジャはここまでの削りカス。
裏からシルエットを見て楽しむ
この作品、大きすぎて通常の彫刻スタンドで作業が出来ないので、下から光を当てて彫るという楽しみができません。
そして、彫った部分が光らないのでちゃんと彫れているか心配になります。
そんなときは僕のおすすめの楽しみ方その①、裏からシルエットを見て楽しむで進捗確認を兼ねて気分転換してみましょう!
シートを裏返し、おもむろに貼っていたカラーフィルムを剥がします。
フィルムも大きいですね・・・
そして光にかざしてみると・・・
う、美しい・・・
しまった!
美しさのあまり写真を撮るのを忘れてました。
白いテーブルに載せて撮った写真はこちら。
シャインカービングのシート(無地)の構造は
上層:グレー塗装
中層:ブラック塗装
下層:透明PVC(ビニール)
となっているため、裏側から見ると黒色になります。彫った部分は透明となり光を通すため、写真のような白線と黒背景の美しさを堪能できます。
一見非常に細かい線に見えますが、サイズが大きいのでそれほど難易度の高いデザインではありません。(個人の見解です。)
余談ですが、これまでで一番難しかったデザインはこの”Rose”Lサイズ(160mm * 160mm)です。
シャインカーバーを目指すみなさんには、是非このデザインをラクラク彫れる腕前を目指していただきたいです。(このデザインも税別1200円で発売予定です。)
【中編】に続きます。